カネなし、コネなし、経験ナシの31歳独身男、起業家への道

カネなし、コネなし、就職経験1年未満の31歳独身男が起業家になるまでの道を日記風に綴っていきます。1週間に1回くらいのペースで書ければと思っています。ゆっくりやっていきます。

9月18日② オーディション開催

棚ボタ的な話をもらった俺は、一度イケメン社長と別れ、2時間後に再度待ち合わせをする事となった。

 

すげえな。こんな話があるんだな。

本当に「社長さんの友達は社長さん」なんだ…

とまぁ、芸能人を眺める一般人的考えを巡らした俺は、このチャンスをものにすることを誓った。

「いくぞ。このまま一気に駆け抜けて、俺もこの人達と肩を並べられる社長さんになってやる。

そして、若い起業家に『知り合いに起業家を応援している社長さんがいるから、紹介しましょうか?』なんて言いたい… 言いたい…

グフフフフ…」

 

気持ち悪い笑い方をしながら妄想している俺は幸せ者だった。

この後、いろいろな出来事が起ころうとは、この時予想すらしていなかったのだ。

 

今はただ目の前にある事に一生懸命取り組む事が大切なのだ。

 

今の段階では一歩一歩進んでいる。

「一人の人間にとってこの一歩は小さいが、人類にとっては偉大な一歩である。」

あれ?逆か?

 

イケメン社長さん用にプレゼン資料を持っている。

イケメン社長さん用にスラックスとシャツ、ネクタイもしている。

(結構暑い日だったが、失礼のないように。)

準備は万端だ。

 

いざ、出陣!

 

IT社長さんの会社は表参道のめちゃくちゃ立地のいい場所にあった。

黒い扉を開け、イケメン社長さんと俺は颯爽と中に入って行った。

 

会議室で少し待ち、いよいよIT社長さん登場!

・・・

「めっちゃ良さそうな人!」

 

さすが「若手を応援したい。」という仏の心を持った人である。

60歳前後で、7:3分けで、懐かしい眼鏡をかけたたれ目のオジサマ。

「か、かわいい…」

そんな印象を持った事は口が裂けても言えない。

 

さて、ホ◯タテ名物の名刺交換を済ませ、早速「オフィス争奪男だらけのチキチキオーディション」の開催である。

 

「これこれこういう事業を始めまして、こういう事がやりたいんです!」

「…」

「最初はこれくらい売って、ゆくゆくはこれくらいの売上にしていこうと考えています。」

「…」

「その為にはこういう方法をとろうと考えていて、最終的にはここを目指しています。」

「…この数字の根拠は?」

 

痛い、痛いよ、社長さん…

かわいい風貌からは予想だにしない一撃。

もうこちらは一撃で瀕死の重傷です。

 

さすが、一国を率いている首長なだけあるぜ。

そのかわいらしい見た目は相手を欺く為か・・・

なんて策士だ。

 

「すいません、現時点では根拠を明示できません。

あくまで経験から来る推測です。」

「そうですか。ホームページを見て頂くと分かるんですけど、うちの会社はね…」

 

このままIT社長さんの演説は30分続いた。

 

こうして、俺のオーディションは幕を閉じたのだった。

 

一撃で 全て挫かれ ジ・エンド