デザイナーになれない理由
なぜデザイナーとして独立できる人が少ないのか。
それは
「ビジネスとアート」
を混同しているからです。
ちなみになぜ「アート」という言葉を使ったかというと、「アーティスト」を目指している(と思っている)人が多いからです。(本当はビジネスの対義語は「ホビー」)
ビジネスとアート、広義・狭義いろいろな捉え方があるとは思いますが、
私の考えとしては
「ビジネス」
一般消費者に価値を提供し、見返りとして代金をもらうこと。
「アート」
富裕層に価値を提供し、見返りとして代金をもらうこと。
前提として、誰かから代金をもらわなければ生活していけません。
代金をもらう為には、誰かに価値を提供しなければいけません。
その為には顧客になりうる人が求めているもの(欲求)を満たす必要があります。
必ず「価値を提供する代わりに代金をもらう」のです。
皆さん、自分がやろうとしてることが「ビジネス」にしろ「アート」にしろ、他人に価値を提供して、その見返りとして代金をもらうという根本を理解していません。
しかも大多数の人は自然と「ビジネス」を目指しているということを自覚していません。
まず聞きたいのは
「あなたは誰にそのモノを売ろうとしているのですか?」
どちらを目指すかによって、売り方が全く違う事を理解して下さい。
「ビジネス」なら一般消費者に向けて大量生産をして売り込めばいいですし、「アート」ならお金持ちや企業などに向けてオーダーメイド形式の売り方をしなければいけません。
まずはそこを明確にしましょう。
デザイナーを目指している人達が共通して言う言葉
「自分が作りたい物を作って、それを認められて成功したい。」
はっきり言います。
「無理です。」
たまたま作ったものが時代の風潮に合っていて、流行の波に乗り、いわゆる「成功」のレベルまで行く人もいるかもしれません。
でもそれはごくごく稀な話。
まず一つ言える事。
それは皆さんが「アーティスト」だと思っている人達はしっかりと時代の流れに沿い、
「消費者が求めているものを提供している事」
意識しているいないは別にして、時代の流れや世相を反映したモノが生み出されています。
洋服でも、音楽でも、パソコンや建築物でもいいです。
どういう背景があって、どんな流れで作られていたか調べてみて下さい。
必ず世の中にニーズがあって、それに答えるようにそのモノが作られていますから。
例えば「レオナルド・ダ・ヴィンチ」、「ル・コルヴィジェ」、「セックスピストルズ」、「コム・デ・ギャルソン」。
彼らは「アーティスト」だと思いますか?
彼らは本当に自分の作りたい物を作っていただけでしょうか。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」も「ル・コルヴィジェ」も有名な方々ですが、彼らには顧客がいました。顧客のニーズを満たしたからこそ仕事が入り、自分のテイストを加えつつも、顧客の要望を叶えていったのです。
「セックスピストルズ」「コムデギャルソン」は時代の風潮を見事に捉えていました。閉塞的で保守的だと一般消費者が思っていたところに、彼らは革新的で反社会的な製品を提供したのです、製品を提供したというよりは価値観や考え方を提供したと言っても過言ではありません。
「アップル」の創業者「スティーブ・ジョブズ」も同じです。
アップルが掲げていたスローガン「Think different」。
アップルも製品を提供すると同時に価値観や考え方を提供していたのです。
あなたが作りたいものは顧客(消費者)に価値を提供していますか?
「かっこいいから」
「かわいいから」
「デザインが優れているから」
だから、私のデザインは売れる(はずな)んだ。
デザイナーを目指している人からよく聞く言葉です。
もう一度はっきりと言います。
「デザインがいいだけでは売れません。」
しかも、本当にそのデザインがいいかどうかもわかりません。
デザインがいいかどうかを決めるのは顧客(消費者)なのですから。
たとえば、5万円くらいのアンドロイドスマホを日本中の人が持っている状況で、
アップルの製品が世界中で全く普及していなかったとします。
もちろんスティーブ・ジョブズを知っている人はいません。
ある日突然スティーブ・ジョブズがiPhone6を持って
「このスマホはデザインが優れているから10万円で買って下さい。」
と来たら、あなたは買いますか?
どこの誰かも分からない人物が、平均価格よりも高い金額で、ネームバリューのないちまたに溢れている物を、デザインがいいという理由だけで売っているのです。
私なら買いません。
よくよく考えてみて下さい。
あなたはそれでも買いますか?
本気でデザイナーを目指すなら、
この言葉は捨てて下さい。
「自分が作りたい物を作って、それを認められて成功したい。」
本気でデザイナーを目指すなら、
顧客(消費者)のニーズを的確に読み取り、顧客(消費者)が望むものを提供して下さい。
その中で、自分のテイストを織り交ぜていけばいい。
あくまでニーズを汲み取った上での提案です。
ぜひデザイナーを目指して、成功して下さい。